テストに丸をつけた。

庭で植木に「えさ」をやっていたころ、(ついでに小鳥にえさをやっていた。)

正直に言って、私は禿げた。一芸もない私が芸人として長年やってこれたのはこの頭皮の量子力学的変化のおかげでもあるのだから、感謝すべきだろう。

妻と話しながら、庭でほうきを掃いていたら(嘘じゃない。芸人はギャンブラーだから、試しにそういうこともする)、紙切れが一枚飛んできた。拾って読んでみた。本文は・・・・・・書いていない。P.S.もない。手紙でもなさそうだ。ぐちゃぐちゃのようで、折り目がぴんと張っている。年寄りの先輩芸人みたいだ。完全に真っ白だ。宛先もない。文章もない。比喩もない。結びの言葉もない。時候の挨拶もない。結びの言葉もない。拝啓もない。おかしみもない。お涙頂戴もない。別れのあいさつでもない。郵便番号もない。住所もない。切手もない。重さもない。面積もない。実は、紙切れもない。庭もない(マンションだ)。ほんとは妻もない。手も足も出ない。

 

 

 

だから、これはテスト用紙である。私は、拾ったそれに、赤のペンで大きく丸をつけた。その採点済みを紙飛行機にして飛ばして、その上へ寝転がった。